暮らしに溶け込む季節感−山を描かず山開き示す美人画―尾形月耕《山開き》
13,000点をこえる横浜美術館のコレクション作品から、毎月選りすぐりの1点をご紹介するシリーズ。学芸員がコンパクトに解説します。おなじみの作品も、はじめましての作品も、どうぞご堪能ください。
明治期、小説の単行本で読者を引き付けた木版の口絵は、文芸雑誌にも付けられるようになります。出版社の博文館は『文芸倶楽部』に、手間をかけた多色木版の口絵を付けました。初め、掲載された小説の登場人物を紹介しましたが、小説が仕上がってから読み込んで絵を描くのは、工程の上で負担でした。そこで