撮るのも撮られるのもひと苦労ー下岡蓮杖《三人の少年》
横浜美術館のコレクション(所蔵作品)の中には横浜市内18区と関連する作品があるのをご存知ですか?
横浜の風景が描かれた作品、横浜出身の作家や横浜を拠点に制作活動にはげんだ作家の作品など、数多く所蔵しています。
今回は、中区ゆかりの作品、下岡蓮杖《三人の少年》についてご紹介します。
幕末に現在の横浜市中区野毛で営業写真館をはじめた下岡蓮杖は、名刺判と呼ばれる小さなお土産用の写真を数多く撮影しました。とくに蓮杖が得意としたのは、この写真のような外国人向けの風俗写真です。着物を着た学生らしき少年たちが、キセルや本を手にして写されています。中心にひとり、左右に向かい合わせでふたりの人物を座らせる配置は、蓮杖がしばしば使った写真の構図です。右側の椅子に座る少年の首元をよく見ると、首押さえ器具の棒らしきものが出ているのが分かります。当時使われていた湿板写真という技法は、撮影に5秒から15秒ほどの時間を必要としました。そのため、撮影される人の頭が動かないよう、こうした器具で首を固定していたのです。
横浜美術館では、《三人の少年》のほかにも、下岡蓮杖の作品を所蔵しています。ほかの作品について知りたいと思ったかたは「コレクション検索」をチェックしてみてくださいね。
横浜美術館スタッフが18区津々浦々にアートをお届け!「横浜[出前]美術館」
現在、大規模改修工事のため、長期休館中の横浜美術館。
お休みのあいだ、学芸員やエデュケーター(教育普及担当)が美術館をとびだして、レクチャーや創作体験などを市内各地におとどけする「横浜[出前]美術館」!その様子をレポートします。
第16弾は、中区の大佛次郎記念館にうかがい、エデュケーターによるレクチャー「アートでめぐる横浜の街 −中区編−」を開催しました。
あわせて、18区の魅力を発見する、講座参加者の皆さんにきいた「みんなに伝えたい!わたしの街のいいところ」もぜひご覧ください。
▶「アートでめぐる横浜18区」中区編
●横浜美術館の所蔵作品にみる横浜