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波しぶきにこめられた、荒ぶる海のエネルギー。ークールベ《海岸の竜巻(エトルタ)》

横浜美術館のコレクション(所蔵作品)の中には横浜市内18区と関連する作品があるのをご存知ですか?

横浜の風景が描かれた作品、横浜出身の作家や横浜を拠点に制作活動にはげんだ作家の作品など、数多く所蔵しています。

今回は、都筑区にゆかりのある企業家が当館に寄贈したコレクションのなかから、ギュスターヴ・クールベ《海岸の竜巻(エトルタ)》についてご紹介します。

ギュスターヴ・クールベ《海岸の竜巻(エトルタ)》
1870年
油彩、カンヴァス、h.65.0 × w.81.0 cm
横浜美術館蔵(坂田武雄氏寄贈)

横浜美術館は、都筑区に本社をおく株式会社サカタのタネの創業者・坂田武雄氏が収集した作品を多く収蔵しています。1913年に横浜で坂田農園(株式会社サカタのタネの前身)を創立して以来、坂田氏は種苗の研究や輸出事業に邁進し、同社を国内大手の種苗会社へと発展させました。実業家として手腕をふるう一方、坂田氏は昭和初期よりフランス近代美術を軸とした西洋美術の収集をはじめます。そして1983年には坂田氏愛蔵の52点が、横浜市に寄贈されました。

ギュスターヴ・クールベ《海岸の竜巻(エトルタ)》もそのうちの1点。この絵では、はげしい筆跡とパレットナイフでカンヴァスに押しつけられた白い絵の具が、暗い画面のなかで際立っています。その粗い絵の具のタッチは、岩場に打ち寄せる波しぶきに物としての存在感を与えているようです。それは、海を舞台に人間の営みを描く伝統的な「海景画」とは一線を画す表現でした。クールベはこの作品で、時間や天気により表情を変える、海の生命力そのものを画面にとどめようとしたのでしょう。

横浜美術館では、本作のほかにも、坂田武雄氏からの寄贈作品を所蔵しています。ほかの作品について知りたいと思ったかたは「コレクション検索」をチェックしてみてくださいね。

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横浜美術館スタッフが18区津々浦々にアートをお届け!「横浜[出前]美術館」

現在、大規模改修工事のため、長期休館中の横浜美術館。
お休みのあいだ、学芸員やエデュケーター(教育普及担当)が美術館をとびだして、レクチャーや創作体験などを市内各地におとどけする「横浜[出前]美術館」!その様子をレポートします。

第8弾は、都築区の横浜市歴史博物館にうかがい、学芸員によるレクチャー「日本写真、事始め〜幕末明治期の写真」を開催しました。

あわせて、18区の魅力を発見する、講座参加者の皆さんにきいた「みんなに伝えたい!わたしの街のいいところ」もぜひご覧ください。

「アートでめぐる横浜18区」都築区編
激動の時代に発展を遂げた横浜の写真文化

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