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木の「声」をきく―澄川喜一《そりのあるかたち》

横浜美術館のコレクション(所蔵作品)の中には横浜市内18区と関連する作品があるのをご存知ですか?

横浜の風景が描かれた作品、横浜出身の作家や横浜を拠点に制作活動にはげんだ作家の作品など、数多く所蔵しています。

今回は、緑区にある鴨池橋かもいけばしのデザイン監修をしたことでも知られる彫刻家・澄川喜一の《そりのあるかたち》についてご紹介します。

澄川喜一《そりのあるかたち》2017(平成29)年
木(欅)/h210.0 x w62.0 x d38.5 cm
横浜美術館蔵

すっと立ちあがる木の彫刻。木のもつ自然な形を切りとったかのような作品です。木にはそれぞれ個性があり、木の「声」に耳を傾け、対話しながら形を彫りだしていくと語る作家。「そりのあるかたち」シリーズは、澄川が木という素材に真正面から向き合い始めた1970年代以降、長きにわたって追求してきたテーマです。を描くなだらかな曲線は、山のすそ野のゆるやかなラインや日本刀の背と棟にみる反りとむくり、または神社仏閣の張り出した屋根など、作家にとって、古くからの日本の風土や文化に通じるかたちなのだとか。この曲線は、東京スカイツリーをはじめ、澄川がデザイン監修を手がけた多くの公共造形物にも活かされています。JR鴨居駅近く、鶴見川にかかる鴨池橋かもいけばしもそのひとつ。遠くから眺めると堂々としなやかな曲線を描き、橋を渡ってみると、ゆったりとした心地よさに包まれます。欄干らんかんひとつひとつのデザインにも目を向けてみてください。

鴨池橋 1991年(撮影2019年)

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横浜美術館スタッフが18区津々浦々にアートをお届け!「横浜[出前]美術館」

現在、大規模改修工事のため、長期休館中の横浜美術館。
お休みのあいだ、学芸員やエデュケーター(教育普及担当)が美術館をとびだして、レクチャーや創作体験などを市内各地におとどけする「横浜[出前]美術館」!その様子をレポートします。

第17弾は、緑区の横浜市緑区民文化センター みどりアートパークにうかがい、エデュケーターによるワークショップ「シュールなおばけをつくろう!」を開催しました。

あわせて、18区の魅力を発見する、講座参加者の皆さんにきいた「みんなに伝えたい!わたしの街のいいところ」もぜひご覧ください。

▶「アートでめぐる横浜18区」緑区編
●フロッタージュでおばけづくりに挑戦!