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フロッタージュでおばけづくりに挑戦!

「横浜[出前]美術館」−緑区編−

現在、大規模改修工事のため長期休館中の横浜美術館。
お休みのあいだ、横浜美術館の学芸員やエデュケーター(教育普及担当)が美術館をとびだして、レクチャーや創作体験などを市内各地におとどけする「横浜[出前]美術館」!

第17弾は、緑区の横浜市緑区民文化センター みどりアートパークに、エデュケーターによるワークショップ「シュールなおばけをつくろう!」をお届け!その様子をレポートします。
そのほか、18区の魅力を発見する「みんなに伝えたい!わたしの街のいいところ」、18区ゆかりの所蔵作品や作家をご紹介する「横浜美術館コレクション×18区」の特集もお楽しみください。

見たことのないおばけをつくってみよう!

講座名:「シュールなおばけをつくろう!」
開催日時:2023年5月20日(土) 13時30分~15時
開催場:横浜市緑区民文化センター みどりアートパーク
講師:横浜美術館エデュケーター
対象:小学生とその保護者
参加人数:19名

会場となったのは、緑区にある横浜市緑区民文化センター みどりアートパーク。JR横浜線、東急田園都市線・こどもの国線「長津田駅」から徒歩4分という便利な立地にありながら、豊かな緑に囲まれた気持ちの良い環境です。コンサートなど多彩なイベントが開催される334名収容のホールをはじめ、リハーサル室、練習室、会議室なども完備し、誰でもが気軽に芸術に触れられる環境が整っています。今回のワークショップは、創作活動の発表の場としても利用される地下1階のギャラリーで開催しました。

会場に入ると、テーブルの上にいろんな素材が用意されていました。
植物の葉っぱや、スタッフが海岸で拾い集めた流木。文房具や工具など、横浜美術館の事務所から持ってきたモノも並んでいます。今日のテーマは、これらを使った「おばけづくり」。一体どう使うのでしょう?

挑戦するのは「フロッタージュ」。凸凹のあるものの上に紙を置き、鉛筆などでこするように描くことで、凸凹の形状などを写し取る技法です。ある程度凸凹したものなら、自然素材からプラスチック雑貨、布類、ゴム手袋までいろんなモノが使えます。
まずは、エデュケーターの森さんのお手本を見てみましょう。

やり方がわかったら、自分のテーブルに戻って練習開始!
コインや葉っぱの上に紙を置いて、鉛筆でこすってみます。上手に写し取れるかな?

慣れてきたら、いよいよ本番です。いろんなモノを選んで、フロッタージュしてみましょう。
スタッフが用意した材料は選び放題。あれこれ選んで、あれこれ試してみます。事前に「好きなモノをお持ちください」とお知らせしていたので、団扇などを持ってきてくれた方もいらっしゃいました。

用意されたのは虫めがね型のフレーム。この中に、好きなモノをフロッタージュしてみましょう。
写し取った絵柄は何に見えますか? 何に見えるか、どんな感じがするかを考えて、吹き出しの中に書いてみます。

そして、いよいよ「おばけ」の登場です。色鉛筆でカラフルにフロッタージュしてもいいし、ペンで描き足してもいいし、シールを貼るのもOK。いろんな形のフレームが用意されているので、好きなものを選んで自由な発想でおばけをつくってみましょう。もちろん、フレームを使わず自分でオリジナルの「おばけ」を考えてみるのも大歓迎!

いろんなおばけが、どんどん生まれます。
保護者の方もぜひ挑戦してみてください・・・と声をかけるまでもなく、いつの間にかおとなの方が夢中になっているようです。


いろんなおばけができたら、その中から「これがいちばん!」と思うお気に入りを選んで、保護者の方やきょうだいの作品と交換します。自分の手元に来たおばけに名前をつけたら、壁に貼ってみんなで鑑賞会です。あれこれ工夫した、いろんな名前の、いろんなおばけが並びました。


最後はちょっぴりお勉強タイム。
「フロッタージュ」はフランス語の「frotter(こする)」に由来し、ドイツの画家、マックス・エルンストがはじめたと言われる技法です。エルンストは「シュルレアリスム」という芸術運動を代表する作家のひとりです。シュルレアリスムの作家たちは、作品タイトルを他の人に委ねることがあったので、今回のワークショップでも同じことに挑戦しました。

横浜美術館では、エルンストをはじめシュルレアリスムの作家たちの作品を所蔵しています。リニューアルオープン後に展示される機会があると思うので、ぜひみにきてくださいね!
また、今回のワークショップで完成した作品の複製が、みどりアートパーク開館10周年を記念した利用者参加型アートプロジェクト「アニバーサリーツリー」に飾られています。
ぜひみどりアートパーク屋外のショーケースをご覧ください。

*新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、ガイドラインを遵守した対策を講じた上で実施しています。

18区の魅力発見! 講座参加者の皆さんにきいた「みんなに伝えたい!わたしの街のいいところ」

横浜のことを知っているのは、よく訪れたり、住んでいる方々!
講座参加者の皆さんの声から緑区の魅力をご紹介します。

自然が豊かで、のんびりとした雰囲気の住みやすい街。

●横浜の中でも、自然が豊かな場所が多いと感じます(緑区、40代)
●大きな公園があり、自然豊かなイメージ(横浜市外在住、30代)
●首都圏なのに、里山が残る緑が豊かな「四季の森公園」がある(港北区在住、60代)
●地産地消の新鮮な農産物の直売所が市内で一番多いところ(中区在住、60代)
●緑区キャラクターのミドリンがかわいい(港北区在住、30代)
●子育て世帯に住みやすい街でのんびりとした空気があります(港北区在住、40代)
●ラーメン二郎の名店があり、遠くてもわざわざ足を運んでいます!(横浜市外在住、40代)

「横浜美術館コレクション×18区」

当館のコレクション(所蔵作品)の中から、横浜市内18区ゆかりの作品や作家をご紹介します。

澄川喜一《そりのあるかたち》2017(平成29)年
木(欅)/h210.0 x w62.0 x d38.5 cm
横浜美術館蔵

木の「声」をきくー澄川喜一《そりのあるかたち》

すっと立ちあがる木の彫刻。木のもつ自然な形を切りとったかのような作品です。木にはそれぞれ個性があり、木の「声」に耳を傾け、対話しながら形を彫りだしていくと語る作家。「そりのあるかたち」シリーズは、澄川が木という素材に真正面から向き合い始めた1970年代以降、長きにわたって追求してきたテーマです。を描くなだらかな曲線は、山のすそ野のゆるやかなラインや日本刀の背と棟にみる反りとむくり、または神社仏閣の張り出した屋根など、作家にとって、古くからの日本の風土や文化に通じるかたちなのだとか。この曲線は、東京スカイツリーをはじめ、澄川がデザイン監修を手がけた多くの公共造形物にも活かされています。JR鴨居駅近く、鶴見川にかかる鴨池橋かもいけばしもそのひとつ。遠くから眺めると堂々としなやかな曲線を描き、橋を渡ってみると、ゆったりとした心地よさに包まれます。欄干らんかんひとつひとつのデザインにも目を向けてみてください。

鴨池橋 1991年(撮影2019年)


――みなさんもぜひ緑区を訪れてみてくださいね――

これまでの「アートでめぐる横浜18区」の記事はこちら

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