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幕末のイギリス人写真家・フェリーチェ・ベアトがみた戸塚。―カラー写真?絵画?どちらも違う「手彩色」写真とは―

横浜美術館のコレクション(所蔵作品)の中には横浜市内18区と関連する作品があるのをご存知ですか?

横浜の風景が描かれた作品、横浜出身の作家や横浜を拠点に制作活動にはげんだ作家の作品など、数多く所蔵しています。

今回は、戸塚区ゆかりの作品、フェリーチェ・ベアト《戸塚、東海道》についてご紹介します。

フェリーチェ・ベアト《戸塚、東海道》
1863-70年頃(文久3~明治3頃)
アルビュメン・シルバー・プリント、手彩色
h. 21.2 × w. 28.7cm
横浜美術館蔵

フェリーチェ・ベアトは、イタリア生まれのイギリス人。幕末期の横浜で活動した写真家です。西洋伝来の写真技術で、日本の風景や風俗を数多く撮影しました。当時の横浜やその近郊を伝える写真もあります。そこには、記録への意識だけでなく、写真家としてのベアト特有の美意識が表れています。

これは、150年ほど前の戸塚。白黒の写真にあとから手描きで色を差す、「手彩色」と呼ばれる手法によるものです。横浜美術館は、この写真と同じ白黒写真を収めたアルバムも収蔵しています。そこには、ベアトと別の人による英語の説明書きがあります。「Totska(戸塚)」は、「神奈川から藤沢までのほぼ中ほどにある細長い村」と記されています。

カラー写真に慣れていると、白黒に敢えて色を付けた写真は、微妙な不自然さが感じられるでしょう。手彩色は、白黒の写真を別物の絵画に変えるような不思議さがあります。

横浜美術館では本作のほかにもフェリーチェ・ベアトの作品を所蔵しています。
ほかの作品について知りたいと思ったかたは「コレクション検索」をチェックしてみてくださいね。

▶これまでの「横浜美術館コレクション×18区」はこちら

横浜美術館公式noteでは、フェリーチェ・ベアトの兄で、同じく写真家のアントニオ・ベアト《遣欧使節とスフィンクス》についてもご紹介しています。あわせてご覧ください。
▶「スフィンクスに登ってる奴は、誰だ?―アントニオ・ベアト《遣欧使節とスフィンクス》

横浜美術館スタッフが18区津々浦々にアートをお届け!「横浜[出前]美術館」

現在、大規模改修工事のため、長期休館中の横浜美術館。
お休みのあいだ、学芸員やエデュケーター(教育普及担当)が美術館をとびだして、レクチャーや創作体験などを市内各地におとどけする「横浜[出前]美術館」!その様子をレポートします。

第6弾は、戸塚区の横浜市戸塚区民文化センターさくらプラザにうかがい、学芸員によるレクチャー「鏑木清方の春夏秋冬」を開催しました。

あわせて、18区の魅力を発見する、講座参加者の皆さんにきいた「みんなに伝えたい!わたしの街のいいところ」もぜひご覧ください。

「アートでめぐる横浜18区」戸塚区編
鏑木清方「春夏秋冬の美しい暮らしを描く」


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