【第6回】新聞につづる、横トリ回想録
横浜美術館では、現代アートの国際展「第8回横浜トリエンナーレ」を舞台に、10代を対象とする全6回のプログラムを開催しました。今回は「横浜トリエンナーレを体験しよう!伝えよう!」と題した、ユースプログラム第6回目の様子をレポートします。
この日はプログラム最後の日。はじめに、これまでの活動内容を写真とともに振り返りました。
毎回のエデュケーターとの鑑賞のほか、回ごとに参加アーティストの志賀理江子さん、SIDE COREのみなさん、山下陽光(ひかる)さん、総合ディレクターの蔵屋美香館長を講師としてお招きし、お話を聞いたり一緒に活動したりしました。
第6回目となる今回は、これまでのプログラムで得た気づきや発見を参加者それぞれの視点で新聞の形で表現してもらいました。まず、実際の新聞を参考に観察し、文字や写真の配置を考えます。出来事を伝える記事だけでなく、テレビ欄や広告欄、天気予報や4コマ漫画もアイデアのひとつになっていました。
プログラム中に書いてきたスケッチブックを見ながら、体験したことを思い出し、記事の構想をふくらませました。そして、まっさらなB4の画用紙にペンや鉛筆でテキストを書き、絵や写真を加えて詳しく伝えられるようにしました。新聞記者になりきって取材記事にまとめたり、気になった作品の感想をメインに取り上げたり、参加者の取組み方はさまざまです。
写真を使う人は、美術館のスタッフが撮影した写真の中から、文章にあわせて内容が伝わりやすいものを選びました。それらの写真を参考に絵を描く人も。改めて展示室でじっくり作品を鑑賞して、テーマや色、形、書かれている言葉を詳細に確かめ、写真を撮り直す人もいました。
そして、完成した新聞を壁に掲示し、参加者同士で鑑賞。どんなことが印象に残ったか、思い思いのシーンが並びました。「第8回横浜トリエンナーレ」の作品から感じたことや思ったこと。参加アーティストのお話から気づいた、社会のこと、物事のとらえ方。悩みながらも作品づくりに取り組んだことや、ときに参加アーティストの作品の一部に参加したこと。見て、聞いて、体験したことを、改めて自分の言葉で表し、共有することができました。
最後に、お茶やお菓子を片手に、この日の前日に山下陽光さんとの活動でおこなった、Tシャツの発表会の様子をビデオ鑑賞しました。制作したTシャツを着て、ファッションショーのように客席の間を歩いていく自分の姿に、参加者は少し恥ずかしそうな様子でした。
全6回にわたって行われたプログラムは、和やかな雰囲気で締めくくられました。「第8回横浜トリエンナーレ」に関わった人たちの活動を通して、一味違った物事の見方や考え方に出会えた人も多かったのではないでしょうか?
参加者の声は、制作した新聞からたくさん伝わってきます。
それらの新聞をご紹介します。
(※新聞では、参加者自身が感じたこと、考えたことを表すことを大切にしており、主催者による添削等はおこなっていません。一部事実とは異なる表記もありますが、ご了承ください。)
次回は、美術館を離れ、「第8回横浜トリエンナーレ」の他会場を巡った番外編の様子をお送りします。