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夫婦そろって、は初の快挙! 共に高め合い、それぞれ築いた絵画世界。

横浜美術館

横浜美術館のコレクション(所蔵作品)の中には横浜市内18区と関連する作品があるのをご存知ですか?

横浜の風景が描かれた作品、横浜出身の作家や横浜を拠点に制作活動にはげんだ作家の作品など、数多く所蔵しています。

今回は、港南区ゆかりの山中雪人と水谷愛子による作品≪釈迦三尊≫と≪亮と兄ちゃん≫についてご紹介します。

山中 雪人 ≪釈迦三尊≫
1987年(昭和62)、紙本着色
197.0×311.0㎝
(横浜美術館蔵)
水谷 愛子 ≪亮と兄ちゃん≫
1990年(平成2)、紙本着色
164.8×210.2㎝
(横浜美術館蔵)

山中雪人と水谷愛子は、共に広島育ちです。二人は終戦後に広島で出会い、ほどなく結婚して横浜市に新居を構えました。以後亡くなるまで、半世紀以上にわたり横浜市内に住み、制作を続けました。二人が、1975(昭和50)年から約30年、最も長く住み、多くの作品を制作したのが、港南区です。画室で互いに切磋琢磨し、それぞれの絵画世界を築きました。

雪人と愛子は共に、伝統ある美術家団体、日本美術院が行う院展に、作品を発表していきました。そして「同人どうにん」と呼ばれる同団体の中心メンバーになりました。夫婦揃って同人となったのは、この二人が初めての快挙でした。

雪人は、実家が寺でしたが、インドネシア・ボロブドウ―ルの仏跡で感銘を受けたことをきっかけに、1970年代はアジアの仏跡をめぐって絵の構想を広げます。釈迦や仏教をテーマに尊厳と気品をたたえる宗教画を追究しました。1984,85,86年と院展に発表した仏画が3年連続の日本美術院賞を受賞し、同人となりました。翌年、第72回院展に発表したのが≪釈迦三尊≫です。法隆寺金堂の国宝・釈迦三尊像がモチーフ。三体の仏像は、ほとんど線描画と呼べるほど、厳しく確かな線だけで描かれています。色彩を押さえた画面全体が、上品で柔らかな金色の光をたたえ、三尊像は品格と滋味を併せ持つ穏やかな神々しさに満ちています。

一方、愛子は、主に人物画に取り組み、確かなデッサン力と特有の造形感覚を発揮しました。色使いと幾重にも塗り重ねた絵肌にも特徴があります。院展の出品作≪亮と兄ちゃん≫は、三度目の日本美術院賞を受賞した代表作の一つ。モチーフは、前年の≪裕太と亮ちゃん≫に続き、孫たちです。愛子は、幼児は、発育段階で身体の部位がそれぞれまだ均整がとれていないだけに形をとらえるのが面白いと言います。孫だから遠慮がなくてよく描けたと述べるその姿は、可愛いさだけを発してはいません。人物の実在感をとらえようとしています。また、抽象化した背景は画面に広がりを持たせています。赤、緑、青などの色は孫たちを引き立たせていて、色使いの妙にも気づかされます。

雪人、愛子、それぞれの力作が、横浜美術館には収蔵されています。

横浜美術館では、本作のほかにも、それぞれの作品を所蔵しています。ほかの作品について知りたいと思ったかたは「コレクション検索」をチェックしてみてくださいね。

▶これまでの「横浜美術館コレクション×18区」はこちら

横浜美術館スタッフが18区津々浦々にアートをお届け!「横浜[出前]美術館」

現在、大規模改修工事のため、長期休館中の横浜美術館。
お休みのあいだ、学芸員やエデュケーター(教育普及担当)が美術館をとびだして、レクチャーや創作体験などを市内各地におとどけする「横浜[出前]美術館」!その様子をレポートします。

第11弾は、港南区の横浜市港南区民文化センター「ひまわりの郷」にうかがい、学芸員によるレクチャー「横浜美術館コレクションからみる戦後日本の写真」を開催しました。

あわせて、18区の魅力を発見する、講座参加者の皆さんにきいた「みんなに伝えたい!わたしの街のいいところ」もぜひご覧ください。

「アートでめぐる横浜18区」港南区編
木村伊兵衛から石内都まで。戦後日本の写真の系譜


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