細やかな点描で、幻想的な世界を描く。田中惟之《港の博覧会》
横浜美術館のコレクション(所蔵作品)の中には横浜市内18区と関連する作品があるのをご存知ですか?
横浜の風景が描かれた作品、横浜出身の作家や横浜を拠点に制作活動にはげんだ作家の作品など、数多く所蔵しています。
今回は、西区ゆかりの作品、田中惟之《港の博覧会》についてご紹介します。
田中惟之(1935年)は長年、横浜にアトリエを構えて制作をした横浜ゆかりの画家です。中学在学中に洋画家の國領經郎に出会い、生涯師事し続けました。
この作品では田中が好んで絵の題材とした船の停泊する港が描かれています。けれど、その手前には何か変わった建物や首長竜、観覧車などが見えます。これは今のみなとみらい地区で1989年に開催された横浜博覧会の会場です。「宇宙と子供たち」というテーマのもと様々なパヴィリオンが立ち並び、それらが師の國領から受け継がれた点描法で描かれています。
不思議なことに博覧会にもかかわらず、来場者はどこにも見当たりません。また点描はひとつながりに見える物や景色のイメージを細かく分割することで、画面には静止した印象が作り出されています。誰もいない場所で停止するモノたちの世界、これが田中の描き出す港の風景なのです。
横浜美術館では本作のほかにもさまざまな作品を所蔵しています。
ほかの作品について知りたいと思ったかたは「コレクション検索」をチェックしてみてくださいね。
横浜美術館スタッフが18区津々浦々にアートをお届け!「横浜[出前]美術館」
現在、大規模改修工事のため、長期休館中の横浜美術館。
お休みのあいだ、学芸員やエデュケーター(教育普及担当)が美術館をとびだして、レクチャーや創作体験などを市内各地におとどけする「横浜[出前]美術館」!その様子をレポートします。
第3弾は、西区の横浜市民ギャラリーにうかがい、アーティストの岩井優さんによるトークイベントを開催しました。
あわせて、18区の魅力を発見する、講座参加者の皆さんにきいた「みんなに伝えたい!わたしの街のいいところ」もぜひご覧ください。
▶「アートでめぐる横浜18区」西区編
鮮魚、作業着、ごみが点在する会場でのトーク「かたづけたいけど、ちらかしたい。」