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【レポート】横浜信用金庫3つの支店で淺井裕介さんが公開制作を行いました

前回のレポートでご紹介した「土絵具」を用いて、現代美術家 淺井裕介さんの作品制作が本格的に始まりました。
そのスタートを飾ったスペシャルな取り組みは、横浜信用金庫様の3つの支店を巡る「公開制作ツアー」!2023年10月の3・4日に鶴ヶ峰支店(旭区)、11・12日に本店営業部(中区)、18・19日に市場支店(鶴見区)で行われました。

淺井さんは、今回制作する作品が横浜信用金庫様の100周年記念事業に因んでいることから(横浜市ウェブサイト「横浜市長の部屋」)、「支店で働いている人や、訪れる人たちがいる環境の中で描いてみたい。」と、自らこの「公開制作ツアー」を提案しました。「信用金庫は、誰もが目的を持って訪れる場所だから、そこに絵を描いている人がいたらビックリしちゃうよね。でも、本来はあり得ない出逢いから、何か生まれるかもしれないから・・・」とも。

作家の制作作業を、ここまで間近に見られるのは滅多にないこと・・・


淺井さんから、このアイデアを持ちかけられた横浜信用金庫のご担当者様は、とても驚いたと思います。それでも「たくさんの人との出逢いから、制作をスタートしたい」という淺井さんの思いを受け止め、「なるべく目立つように、そしてお客様の導線を妨げないように」と、各支店の皆さんとの細やかな調整のもと、素敵な制作環境をご用意くださいました。


横浜信用金庫の100周年記念事業のご担当者様にも、
淺井さんの指導で少し筆を持ってもらいました


「公開制作ツアー」の実施にあたっては、長年にわたって横浜美術館を支援してくださっている横浜信用金庫様で行われることや、完成後に当館へ収蔵することが決まっている作品の制作ということから、横浜美術館スタッフも現場のサポートに入りました。

公開制作中に支店を訪れたお客様は、いつもと違う店内の光景を目にして、最初は一様に戸惑いの表情を浮かべたものの、窓口の順番を待っている間や帰り際に近寄ってきては、淺井さんに「これは、何?」「土って絵具になるの?」などと尋ねていました。中には、展示してあった土の採取場所と色のサンプルを見て、「あ!これ、私の母校!」とか、「この神社、私の家の近所!」など、その場所とご自身の関わりを話してくれた人もいました。時には制作場所の周りが人に囲まれることも。その一人ひとりと丁寧に向き合い、自身の創作について分かりやすい言葉で語っている淺井さんの姿は、とても印象的でした。恐らくこれこそが、淺井さんが望んだ環境だったのでしょう。


土の採取地を記載した色見本は、話題の宝庫となりました


3時に支店のシャッターが下りると、職員の皆さんが仕事の合間に見にきてくれました


夕礼では作品の進捗状況を職員の皆さんに披露して、成果を共有しました


本来なら出逢うことはなかったはずの人々と温かい交流の中、横浜信用金庫様での「公開制作ツアー」は無事に終わりました。続きの作業は、BankART Stationの臨時スタジオで2023年12月初旬まで行われます。その間、何回か公開制作の予定が組まれているようです。完成するとタテ約3m×ヨコ約4mにおよぶ大きな作品です。たくさんの人がこの大作に関わってくれることを願いつつ、完成を楽みに待ちたいと思います。


※BankART Station臨時スタジオでの公開制作予定はこちら(~2023年12月2日):https://www.bankart1929.com/news/2023/pdf/asaiyusuke-openstudio.pdf

横浜美術館 渉外担当


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