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【レポート】淺井裕介さんの作品に用いる「土絵具」を、皆で力を合わせて作りました!

長く残暑が続く9月半ばの土曜日、PLOT 48(横浜美術館仮事務所)において、現代美術家 淺井裕介さんが作品制作に用いる「土絵具」を作る作業を、ボランティアの皆さんと一緒に行いました。

この「土絵具」で淺井さんが作品制作をするプロジェクトは、横浜信用金庫様が創業100周年を記念して行った、横浜市文化基金への寄付によって実現しました。(参照:横浜市ウェブサイト「横浜市長の部屋」
完成した作品は横浜美術館に収蔵されるため、私たちはこの作品の制作が順調に進むよう、淺井さんをサポートしています。

今回、なるべくたくさんの種類の土絵具を作れるよう、横浜信用金庫様の63の拠点から土が提供されました。他にも事前に土の採取許可を得た野毛山動物園、横浜市陶芸センター、三溪園、淺井さんが独自に出向いて採取許可を得た弘明寺、洲崎大神など、横浜ゆかりの土が集められました。


作業の1週間前から土を広げて充分に乾燥させました。

これらの土がそれぞれ混じり合わないよう丁寧に管理しながら、徹底的に不純物を取り除き、指先で土のかたまりをつぶし、極細目の篩(ふるい)を通してパウダー状にし、ようやく絵具の素材が完成します。

作業に入る前に、淺井さんから土の扱いを指導してもらいました。
みんなちょっと緊張している様子。

現場が凄まじい土埃になることは容易に想像できると思いますが、風が吹くと篩った土の多くが飛んでいってしまうので、室内の空調は最低限で(もちろん扇風機などは使えません)、屋外もほぼ無風の中で作業は進んでいきました。

大量の土を前に、果てしなく思えた手作業。
それでも、チームワークで乗り越えました。


篩(ふるい)を通せない陶芸用の粘土質の土は、
固く乾燥させてから荒く砕き、スパイス用のミルで挽きます。
この作業はコツを掴むまでがとても難しいのです。

10:00から17:00まで、昼食や水分補給の休憩以外はほとんど手を止めることなく、淺井さんの指示のもと、ボランティアの皆さんは一生懸命に土と格闘し、93種類もの絵具ができました。
写真で見ると「全て同じような色」に見えるかもしれませんが、淺井さんが色の違いを見るためにその場で描いてくれた「試し描き」で分かるように、微妙に違う土の色は、作品になるとかなりカラフルです。


これらの絵具を使って、これから本格的に作品制作がスタートします。淺井さんは制作の途中で「一般に公開しながら描く機会をつくりたい」と考えているようなので、公開制作の情報が提供されたら横浜美術館からも皆さんに告知したいと思っています。

様々な立場の人が、横浜で交わり合って生み出される作品。
ぜひ、完成までの道のりを、多くの方に見守っていただければ幸いです。


横浜美術館 渉外担当