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描かれている人物はだれ、そして何を想う?―下村観山《小倉山》

13,000点をこえる横浜美術館のコレクション作品から、毎月選りすぐりの1点をご紹介するシリーズ。学芸員がコンパクトに解説します。おなじみの作品も、はじめましての作品も、どうぞご堪能ください。


下村観山《小倉山》(右隻)1909(明治42)年 
絹本着色、六曲屏風一双 /h157.0 × w333.5 cm/横浜美術館蔵
下村観山《小倉山》(左隻)1909(明治42)年 
絹本着色、六曲屏風一双 /h157.0 × w333.5 cm/横浜美術館蔵

百人一首に次のような歌があります。

小倉山 峰のもみじ葉 心あらば いまひとたびの みゆき待たなむ

平安時代の貴族で亡くなったあと「貞信公ていしんこう」と呼ばれた藤原忠平ふじわらただひらが、この歌をよみました。京都小倉山のもみじに感動した宇多上皇うだじょうこう醍醐天皇だいごてんのうの父)の思いに心よせた歌です。観山はこの歌に想をえて《小倉山》を描いたと考えられます。画面右の人物は歌をつくる貞信公その人です。左には貞信公が目にする木々を描いたのでしょうか。観山の師である岡倉覚三おかくらかくぞう天心てんしん)は、色あざやかな木々を金の地に描くことに観山のねらいがあると指摘しました。

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