見る角度で形が変わる山⁉―ポール・セザンヌ《ガルダンヌから見たサント=ヴィクトワール山》
13,000点をこえる横浜美術館のコレクション作品から、毎月選りすぐりの1点をご紹介するシリーズ。学芸員がコンパクトに解説します。おなじみの作品も、はじめましての作品も、どうぞご堪能ください。
サント=ヴィクトワール山は、セザンヌが生まれた南仏のプロヴァンス地方にある標高およそ1,000m、東西18㎞以上にわたり長くのびる石灰岩の山です。セザンヌは、この山を描いた油絵を30点以上残しました。それらの多くは、セザンヌの生地であるエクス=アン=プロヴァンスの町から眺めた尖った山が描かれています。
しかしこの作品では、エクスの南に位置するガルダンヌから見た、なだらかな山の姿が捉えられています。大地の起伏をあらわす斜めの線が画面の手前から奥にかけてリズミカルに交差しています。赤褐色を基調とした大地やそこに生い茂る植物は、よくみると複雑で幅広い色とさまざまな角度のタッチで描かれています。
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