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いい味出してるこの線、どうやって描いている?―パウル・クレー《攻撃の物質、精神と象徴》

13,000点をこえる横浜美術館のコレクション作品から、毎月選りすぐりの1点をご紹介するシリーズ。学芸員がコンパクトに解説します。おなじみの作品も、はじめましての作品も、どうぞご堪能ください。

パウル・クレー《攻撃の物質、精神と象徴》1922年
水彩・素描 h.33.3 x w.47.5 cm 横浜美術館蔵


人の姿を思わせるみっつのかたち。原画に描かれた線をなぞって別の紙に写しとる、クレー考案の「油彩転写」技法を用いた作品です。

クレーは生涯に300点を超える油彩転写作品を残しています。この技法を用いて写しとった線には、直接描いた線とは違う、ごつごつとした独特の味わいがあります。また、ところどころに見られる「むら」は、写しとる際の手の圧力や紙のこすれによって生まれたものです。偶然の力も利用したこの油彩転写には、あらゆる手をつかって「線」の表現を追求しようとするこの画家の姿勢が見てとれるでしょう。

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作品で用いられた技法「油彩転写」について、映像でご覧ください。



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