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しんしんと—。イギリス人画家も魅せられた、根岸の丘の雪景色。―チャールズ・バートレット《横浜根岸の雪》

13,000点をこえる横浜美術館のコレクション作品から、毎月選りすぐりの1点をご紹介するシリーズ。学芸員がコンパクトに解説します。おなじみの作品も、はじめましての作品も、どうぞご堪能ください。


チャールズ・バートレット《横浜根岸の雪》
1916年(大正5年) 木版/h35.6 x w23.0 cm
横浜美術館蔵

海沿いの集落に降りつもる雪のなかを行く、3人の男性。詩情に満ちた雪景色は、歌川広重の有名な浮世絵版画《東海道五拾三次 蒲原夜之雪とうかいどうごじゅうさんつぎかんばらよるのゆき》にも通じます。イギリスの画家・バートレットは、旅で訪れた東京で版元はんもと渡邊庄三郎わたなべしょうざぶろうに出会い、この「新版画」に取り組みました。新版画とは、江戸の浮世絵の伝統を近代に受け継ぐため、渡邊が提唱した木版画のことです。
この頃の根岸には豊かな漁場ぎょじょうが広がっていたので、手前の行商人は冬の海の幸を運んでいるのでしょう。横浜では珍しい大雪に足が埋まり、歩きづらそうです。バートレットが浮世絵の構図や色に関心を寄せただけでなく、旅で出会う人々の生活に細やかなまなざしを注いでいたことがわかります。

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