幕末の横浜生まれ、サムライ姿の西洋人像―伝 五姓田芳柳《外国人男性和装像》
13,000点をこえる横浜美術館のコレクション作品から、毎月選りすぐりの1点をご紹介するシリーズ。学芸員がコンパクトに解説します。おなじみの作品も、はじめましての作品も、どうぞご堪能ください。
裃を着けた江戸時代の武士の姿で立つ男性。その顔立ちは外国人です。この絵には西洋と日本が合わさった不思議さが感じられます。江戸時代の末、港が開かれた横浜は、外国からの人々や商品が上陸し、活気ある交流で賑わう街となりました。五姓田芳柳は、浮世絵や、正統な絵画の流派であった狩野派に学んだだけでなく、西洋画の技法に強く惹かれて研究しました。江戸時代の衣装に、写真を基にした肖像を組み合わせた絹地の絵画は、五姓田芳柳が創り出したとされています。けれども不明な点も多く確かなことはわかっていません。当時このような絵は、外国人の土産物として人気が高く、外国に持ち帰られたため、日本で目にできる絵は多くありません。
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