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ぬくもりの抽象絵画―ヴァシリー・カンディンスキー《網の中の赤》

13,000点をこえる横浜美術館のコレクション作品から、毎月選りすぐりの1点をご紹介するシリーズ。学芸員がコンパクトに解説します。おなじみの作品も、はじめましての作品も、どうぞご堪能ください。

ヴァシリー・カンディンスキー《網の中の赤》1927年
油彩、厚紙/h.61.0cm x w.49.0cm/横浜美術館蔵


「抽象絵画の父」とも呼ばれるカンディンスキー。彼が「抽象」に踏み入った当初の画風は、聖書の物語や自然のモチーフから得た印象や感情を、鮮烈な色彩で描き出すというものでした。しかしドイツの総合芸術学校バウハウスへの赴任(1922年)を機に、幾何学的モチーフを多用する画面構成へと大きく変化していきます。この作品は、そのバウハウス時代の一点です。

この時期のヨーロッパでは幾何学的な造形表現が流行していました。それらは俗に「冷たい抽象」と総称されます。しかしカンディンスキーが柔らかな色彩で描く形態、リズム感のある構成は、冷たさよりもむしろ温かみを感じさせます。

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