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絵から香りを感じますか?―上村松園《楚蓮香之図》

13,000点をこえる横浜美術館のコレクション作品から、毎月選りすぐりの1点をご紹介するシリーズ。学芸員がコンパクトに解説します。おなじみの作品も、はじめましての作品も、どうぞご堪能ください。


上村松園《楚蓮香之図》
1924(大正13)年頃 絹本着色、軸装(一幅)/h 138.0 x w 51.7 cm
横浜美術館蔵

ゆるやかな曲線を描き、流れるように歩く女性のまわりを、ちょうが舞っています。楚蓮香それんこうは中国唐時代の伝説の美女です。身体から漂ういい香りに魅せられて、外を歩くとちょうはちが飛び従ったといわれています。絵の作者は、生涯をかけて女性を描き続けた上村松園。絵画は目でみるものですが、目にみえるもの以上のことを描き出そうとした画家にとって、楚蓮香それんこうは挑戦に値する画題だったことでしょう。色や構図を変えて、松園は何度も楚蓮香それんこうを描きました。あなたはこの絵から、漂う香りまで、感じ取ることができますか?

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