絵から香りを感じますか?―上村松園《楚蓮香之図》
13,000点をこえる横浜美術館のコレクション作品から、毎月選りすぐりの1点をご紹介するシリーズ。学芸員がコンパクトに解説します。おなじみの作品も、はじめましての作品も、どうぞご堪能ください。
ゆるやかな曲線を描き、流れるように歩く女性のまわりを、蝶が舞っています。楚蓮香は中国唐時代の伝説の美女です。身体から漂ういい香りに魅せられて、外を歩くと蝶や蜂が飛び従ったといわれています。絵の作者は、生涯をかけて女性を描き続けた上村松園。絵画は目でみるものですが、目にみえるもの以上のことを描き出そうとした画家にとって、楚蓮香は挑戦に値する画題だったことでしょう。色や構図を変えて、松園は何度も楚蓮香を描きました。あなたはこの絵から、漂う香りまで、感じ取ることができますか?
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