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中島清之《緑扇》

14,000点をこえる横浜美術館のコレクション作品から、毎月選りすぐりの1点をご紹介するシリーズ。学芸員がコンパクトに解説します。おなじみの作品も、はじめましての作品も、どうぞご堪能ください。

中島清之《緑扇》1975年(昭和50年)
紙本着色、二曲屏風一双/右隻: 166.5 x 182.2 cm、左隻: 166.6 x 182.8 cm
横浜美術館蔵

夏の陽光を浴びる竹林。画面を覆い尽くすように竹の葉を描き、その余白を埋めるように、金、銀、プラチナ箔を細かく切って貼り込んでいます。日陰の葉には、墨のにじみを利用した伝統的な「たらしこみ」の技法が使われています。この絵は、二つ折の屏風が左右で一対となっている「二曲一双にきょくいっそう 」という形式を取っています。屏風はゆるく折って自立させて展示するため、折る角度や見る人が立つ位置によって、ものの重なりや奥行きが違って感じられます。それにより、絵が息づいているかのように、さまざまな表情を見せてくれます。竹林のいきいきとした生命力と光の明滅を表したこの絵では、そうした屏風形式の効果が大いに生かされています。

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