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緊張感とさわやかさが共にある心地良さ―小林古径《菓子》

13,000点をこえる横浜美術館のコレクション作品から、毎月選りすぐりの1点をご紹介するシリーズ。学芸員がコンパクトに解説します。おなじみの作品も、はじめましての作品も、どうぞご堪能ください。


小林古径こばやしこけい《菓子》1940(昭和15)年
絹本着色/h56.5 × w72.3 cm
横浜美術館蔵


「菓子」とは「水菓子みずがし」、つまりくだもののことです。半分になったカリン、横にした青いリンゴ、3個のムベ(アケビ科の一種)は、あまり見かけなくなったくだものかもしれません。3種のくだものは、色だけで、そのものの形と立体感が示されています。作者が生前、身近に置いていたという涼しげな色のテーブルクロスは、机の上か床の上か、どこに置かれているかはわかりません。けれども、ここに描かれた空間は、りんと張り詰めた緊張がありながらも、さわやかで心地よいのです。この作家は、身近なものを描いてこのような空間を描き出すのが得意でした。

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