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椿の園「椿笑園」での語らい。青葉区ゆかりの画家・中島清之

横浜美術館のコレクション(所蔵作品)の中には横浜市内18区と関連する作品があるのをご存知ですか?

横浜の風景が描かれた作品、横浜出身の作家や横浜を拠点に制作活動にはげんだ作家の作品など、数多く所蔵しています。

今回は、青葉区ゆかりの画家・中島清之と彼が描いた《椿笑園の主達》についてのエピソードお伝えします。

t-椿笑園の主達

中島清之《椿笑園の主達》
1970年
紙本着色 h. 204.8 × w. 146.8cm
横浜美術館蔵

中島清之が愛した青葉区恩田町

中島清之(1899-1989)は京都に生まれ、16歳で横浜に移り住んだ画家です。
1970年、長く家族と暮らした南区大岡を離れ、青葉区恩田町に転居し、最晩年まで同地で制作に打ち込みました。清之は豊かな竹林のある恩田の風景を愛し、毎日スケッチブックを抱えての散歩を欠かしませんでした。
この絵のモデルは、清之が町内で親しく交流した鈴木憲一・小江夫妻。夫妻は芸術に造詣が深く、また世界中に新種を探しに行くほどの椿の愛好家で、自邸を「椿笑園(ちんしょうえん)」と呼んだそうです。この絵は、夫妻の夏の午後ののどかな時間を、手前の縁側にいる訪問者の視点でとらえています。部屋に差す光のまばゆさを強調するかのように、人物の輪郭には鮮やかなオレンジ色の絵具が効果的に使われています。

青葉区に住まい、最晩年まで制作活動をつづけたと知ると、中島清之がぐっと身近な存在になりませんか。
清之のほかの作品について知りたいと思ったかたは「コレクション検索」をチェックしてみてくださいね。

また、横浜美術館では2015年に「横浜発 おもしろい画家:中島清之―日本画の迷宮」展を開催し、青年期から最晩年に至る清之の画業をたどりました。


横浜美術館スタッフが18区津々浦々にアートをお届け!「横浜[出前]美術館」

現在、大規模改修工事のため、長期休館中の横浜美術館。
お休みのあいだ、学芸員やエデュケーター(教育普及担当)が美術館をとびだして、レクチャーや創作体験などを市内各地におとどけする「横浜[出前]美術館」!その様子をレポートします。

第1弾は、青葉区の横浜市民ギャラリーあざみ野に伺い、学芸員によるレクチャー「イサム・ノグチと神奈川」を開催しました。イサム・ノグチは青葉区ともゆかりのある作家です。

あわせて、18区の魅力を発見する、講座参加者の皆さんにきいた「みんなに伝えたい!わたしの街のいいところ」もぜひご覧ください。

「アートでめぐる横浜18区」青葉区編 
―イサム・ノグチと神奈川の関係は? その足跡をたどる。―