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怖いものほどかまいたい―ヘレン・ハイド《達磨をからかう》

13,000点をこえる横浜美術館のコレクション作品から、毎月選りすぐりの1点をご紹介するシリーズ。学芸員がコンパクトに解説します。おなじみの作品も、はじめましての作品も、どうぞご堪能ください。


ヘレン・ハイド 《達磨をからかう》1905(明治38)年
木版/h13.9 × w23.8 cm/横浜美術館蔵


「ギョロっとにらみつけるダルマさんはおっかないけど、ふふっ、これなら大丈夫そう」
「おいおい、遠くからならやりたい放題かい…」
そんな微笑ほほえましい応酬おうしゅうが聞こえてくるようです。

カリフォルニア育ちのヘレン・ハイドは1899年に初来日。浮世絵版画の伝統に学びながら、絵師として原画を提供するだけでなく、彫りとりにも自身の意図を行きわたらせる制作を目指しました。生涯に3回、通算して10年以上の歳月を日本で過ごします。この木版画は、彼女がもっとも豊かな実りをあげた二度目の滞在時(1902-10年)のもの。Helen Hydeヘレン・ハイドのイニシャルをハンコ風にあしらい、暖簾のれんもんにしたあたりにも、ユーモアのセンスが生きています。

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