怖いものほどかまいたい―ヘレン・ハイド《達磨をからかう》
13,000点をこえる横浜美術館のコレクション作品から、毎月選りすぐりの1点をご紹介するシリーズ。学芸員がコンパクトに解説します。おなじみの作品も、はじめましての作品も、どうぞご堪能ください。
「ギョロっとにらみつけるダルマさんはおっかないけど、ふふっ、これなら大丈夫そう」
「おいおい、遠くからならやりたい放題かい…」
そんな微笑ましい応酬が聞こえてくるようです。
カリフォルニア育ちのヘレン・ハイドは1899年に初来日。浮世絵版画の伝統に学びながら、絵師として原画を提供するだけでなく、彫りと摺りにも自身の意図を行きわたらせる制作を目指しました。生涯に3回、通算して10年以上の歳月を日本で過ごします。この木版画は、彼女がもっとも豊かな実りをあげた二度目の滞在時(1902-10年)のもの。Helen Hydeのイニシャルをハンコ風にあしらい、暖簾の紋にしたあたりにも、ユーモアのセンスが生きています。
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