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瞬間を切り取る―恩地孝四郎《ダイビング》

13,000点をこえる横浜美術館のコレクション作品から、毎月選りすぐりの1点をご紹介するシリーズ。学芸員がコンパクトに解説します。おなじみの作品も、はじめましての作品も、どうぞご堪能ください。


恩地孝四郎《ダイビング》1933年
木版/h47.0 x w29.2 cm
横浜美術館蔵(北岡文雄氏寄贈)

わずかにのぞくプールの飛び込み台とうっすら広がる雲が、今まさに飛び込もうとしている女性を見上げた場面であることを教えてくれます。上部を大きく占めるのは、丸みを帯びた水着の暗い色面。空中でまっすぐに伸びた彼女の腕や足は、大胆に切り取られています。実はこの頃より恩地はカメラに高い関心を示し、まもなく写真による表現も手掛け始めています。この作品の構図も、あたかもファインダー越しに一瞬の動きを切り取ったかのようです。このシンプルで斬新な構図によって、画面全体にいきいきとした躍動感が生み出されています。

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