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「いのち」をつつむ黒―長谷川潔《草花とアカリョム》

13,000点をこえる横浜美術館のコレクション作品から、毎月選りすぐりの1点をご紹介するシリーズ。学芸員がコンパクトに解説します。おなじみの作品も、はじめましての作品も、どうぞご堪能ください。

長谷川 潔 《草花とアカリョム》1969年(昭和44年)
メゾチント/h.26.4xw.35.6cm/横浜美術館蔵


あれ? 花瓶のまわりを魚が飛んでる…? と目をうたがってしまう不思議な図柄ですが、題名にヒントあり。「アカリョム」は水槽すいそうを意味するフランス語で、画面の左右の端には、水槽のふちが描かれています。

自然のうちに存在するものはすべて互いにつながり合っている、と長谷川潔は考えていました。花瓶にいけられた小さな草花たちも、その奥の水槽に泳ぐ魚たちも、ひとしく水によって生命を支えられているのです。そういう「いのち」の網の目のなかで、人間も生かされている――そんな祈りのような長谷川の想いが、黒いインクのグラデーションでできた銅版画に、得も言われぬぬくもりを与えています。

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