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vol.2 怪力赤ちゃんの絵、海を渡る―渡辺幽香《幼児図》

13,000点をこえる横浜美術館のコレクション作品から、毎月選りすぐりの1点をご紹介するシリーズ。学芸員がコンパクトに解説します。おなじみの作品も、はじめましての作品も、どうぞご堪能ください。

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渡辺 幽香 《幼児図》 1893年(明治26) 
油彩、カンヴァス /h. 57.8 × w. 84.0cm/横浜美術館蔵

明治時代に女性洋画家の草分けとなった渡辺幽香が、シカゴの万国博覧会に出品した作品です。

石臼を引きずりながらトンボをつかまえる、たくましい赤ん坊。豊臣秀吉に仕えた武将で、力持ちで知られた福島正則の幼い頃のエピソードを描いたとされます。明治維新を経て近代国家の仲間入りをした「強国日本」の存在を、万博という場で世界に印象づけることを意図したのでしょう。

一方、そうした制作意図を知らない人々にとっても、まるまるとした元気な赤ん坊の姿というものは万国共通で親しみ深く、魅力的なモチーフだったに違いありません。開港地・横浜で絵画を学んだ幽香ならではの、国際的な着眼点が発揮されています。

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