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はかない小さな遊園地―岩崎貴宏《アウト・オブ・ディスオーダー(コスモワールド)》

14,000点をこえる横浜美術館のコレクション作品から、毎月選りすぐりの1点をご紹介するシリーズ。学芸員がコンパクトに解説します。おなじみの作品も、はじめましての作品も、どうぞご堪能ください。


岩崎貴宏《アウト・オブ・ディスオーダー(コスモワールド)》2011年(平成23年)
髪の毛、ほこり、布 /20.0 x 14.0 x 13.0 cm
横浜美術館蔵


岩崎貴宏は、歯ブラシやタオル、シャープペンシルの芯など、身の回りの小さな物を素材に、大きな風景を想像させる立体作品を生み出します。自身の髪の毛を素材にしたこの作品は、横浜のみなとみらい地区にある観覧車「コスモクロック」が建つ遊園地のミニチュアです。この作品が制作された2011年、東日本大震災によって、関東地方に電力を供給していた福島の原子力発電所が津波の被害により停止しました。電力不足によってさまざまな場所の電気が消されていた時、みなとみらいでは、この観覧車もライトアップを止めていました。はるか彼方から見た風景のように小さい観覧車は、遠く福島で作られた電力に依存する、はかない都市の姿をみるようです。

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